✩ Happy Hour ✩

読書とお酒をこよなく愛する私の生活

「さようなら、私」 小川 糸

 

すっかり秋になり、

だんだんとお布団から出るのが辛くなってきました。

 

今日読んだのは小川糸さんの「さようなら、私」

小川糸さんというと「食堂かたつむり」が有名ですね。

読み終わったあとになんだかホッとする感じ。

 

恐竜の足跡を追いかけて

サークル オブ ライフ

おっぱいの森

 

の三篇の短編が一冊にまとめられています。

 

毎日半身浴するごとに一篇ずつ読ませていただきました。

モンゴルやカナダが舞台の最初の2つの物語もよかったですが、

最後のおっぱいの森が私には印象的でした。

 

 

 

高校生の頃、センター試験の前日に不安で不安で眠れなくなったことがありました。

毎日眠る時間も惜しんで勉強して迎えた試験前日。

不安にならないように努力してきたはずなのに、

やっぱりいざ本番となると緊張と不安で自分を信じきれず、

考えれば考えるほど目が冴えて、

目が冴えることにさらに不安になって。

今思えばそんな試験くらいで運命が決まる訳でもないのに、

その時の私には今後の人生が決まるくらいに重大なことのように

思えていて、気づかないうちにシクシク泣いていました。

 

そんなとき、普段はとっくに寝ているはずの母が私のもとに来て

ただぎゅっと抱きしめてくれて、眠るまでそばにいてくれました。

 

18歳にもなって、恥ずかしいという想いもありながら、

「おかあさん」という存在ってすごいなって、

そのときすごく思いました。

 

 

小説の本筋とは全然関係ありませんが、

急にそんなことがあったなと思い出してしまいました。

 

 

無条件に甘えられて安心しきれる

場所、におい、存在

それがおっぱいなのかなんなのか、

人によって違うと思いますが、

どこかになくては生きられないもの。

私も誰かのそんな存在になれるのかな。

 

 

おやすみなさい!

 

さようなら、私 (幻冬舎文庫)

さようなら、私 (幻冬舎文庫)

 

 

「つきのふね」 森絵都

 

今日は比較的気温も落ち着いて、

過ごしやすい一日でした。

 

きちんと感想を残そうとブログを立ち上げたのに、

読むスピードに更新が全然追いつきません…(笑)

 

 

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少し前に読み終わった

森絵都さんの「つきのふね」

 

思春期の懐かしさがありながら、

心にズシッとくるような小説でした。

 

1999年といえば、

ノストラダムスの大予言って、確かにあったなー!と今なら思うけど、

その当時小学4年生くらいだった私は

やっぱり結構怖かったような記憶があります。

 

 

主人公のさくらは中学3年生、進路のことも悩む時期ながら

あることをきっかけに親友の梨利と行き違ってしまう。

そんな彼女が心の拠り所にするのが不思議な青年、智さん。

二人が仲直りするのをなにより心待ちにしているお節介でちょっとしつこい勝田くん。

 

唯一の拠り所の智さんが静かに精神を病んでいってしまい、

梨利は不良グループから抜け出せなくなっていく…

 

そんな中、さくらはお節介な勝田くんに導かれながら

二人を救おうと奔走するー

 

 

 

物語のテンポも良く、とても読みやすい小説です。

中学生頃に読んでもよかったなーと思ったけど、

今読んだからこそあの頃の複雑な感情がよくわかるような気もします。

 

たとえば梨利のこんな言葉

 

ーあたしはちゃんとした高校生になれるのかな。

 ちゃんとした大人になれるのかな。

 ちゃんと生きていけるのかな。

 未来なんか、来なきゃいいのに。ー

 

未来に対する漠然とした不安。

 

大人になったって同じような不安を抱く時だってある。

だけどなんとなく思春期の頃の感情とはまた違っているような…

たくさんの選択肢が広がりすぎてどれが正解かわからない

若さ故の不安というか。

上手く言葉にできないけれど、

そんなことを考えさせられた本でした。

 

とても素敵な小説でした!

 

「野心のすすめ」 林真理子

今週のお題「読書の夏」

 

セミの声がわんわん響く夏まっさかりな今日このごろ。

暑い日に半身浴をしてさらに汗を流すのも気持ちがいいです。

 

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林真理子さんの本を読みました。

「美女入門」や「白蓮れんれん」などを読んでいたのですが、

「野心のすすめ」を読んで、やっぱりパワフルな女性だなーと改めて思いました。

 

本人もこの本の中で言っているとおり、

自慢話の類も多いですが(笑)、

自身の半生を振り返りながら野心を持つことの大切さを

説いてくださっています。

 

確かに最近の若者は

ギラギラした野心を剥き出しにしたようなタイプは

そう多くないと思います。

経済が上向きに国全体が活気溢れる時代ではないし、 

いつの時代も出しゃばるキャラはそう簡単に好かれないので

それもまあ仕方ないことかなとも思います。


だけど、

一流大学や一流企業に入ったって

何があるかわからない今の時代の中で

野心を持てないといえばそうではなくて、

何があるかわからないなら好きなことやってやろうくらいな、

がむしゃらな野心を持つことだってできる。


私はこの程度でいいやって、

自分でゴールを設けてしまっては

もったいない。


上を上を目指す尽きない向上心を持って生きていくことで、

運もついてくるような気がしてくる。


前向きに頑張ろうと、元気の出る文章でした! 

「説得」 ジェイン・オースティン

f:id:ayako-1026:20150730014230j:plain私がこの作品に出会ったきっかけは

映画「イルマーレ」でサンドラ・ブロック演じる主人公の愛読書だったこと。

 

映画のテーマも”時を越える愛”なので、

この本が重要なアイテムとなっています。

 

作者のジェイン・オースティンといえば、

高慢と偏見」や「エマ」などが代表作の女性作家。

ジェーン・オースティン - Wikipedia

 

なんと1816年の作品!

200年も前の作品だったんですね。

 

◇あらすじ◇

19歳の時に運命的な出会いを果たした主人公アン・エリオットとウェントワース大佐。

結婚の約束をする二人ですが、その当時ウェントワース大佐に財産はなく、

家柄を重んじる家族や周囲の人々からの大きな反対によって若いアンはついに結婚をあきらめてしまいました。

しかしその想いは消えることもなく、8年の年月が流れました。

27歳、再び二人は出会います。

容姿も性格も良く教養もある素敵な女性になったアンですが、既に適齢期を過ぎています。

再会したウェントワースは一財産を築き立派な男性となりましたが、以前アンにされた仕打ちを許すことができません。

そんな中でも、

やがて、8年の歳月の中で二人の中で変わらなかった想いを互いに気付いていく。

その過程の細やかな心の動き、不安。

様々な出来事を経てやっと二人は結ばれます。

 

 

 

大昔の貴族の恋愛物語に、

現代の感覚でも共感できる不思議。

 

例えば一瞬目があったとか、

その眼差しがどんなだったとか、

それによって揺れ動く繊細な気持ち。

 

ちょっとした仕草で不安になったり、相手のたった一言で幸せになったり、

恋愛を経験した人なら誰しも思い出してしまうような

そんな気持ちのアップダウン。

 

今も昔も変わらないですね。

 

 

名シーンはたくさんありますが、

特に、ウェントワースがアンに対する自分の想いにやっと素直になれて

密かに手紙を書く11章のシーンは美しくて涙なくして読めません!

 

ー僕はもう一度自分をあなたに捧げます。今の僕の心は、八年半前あなたに打砕かれたとき以上にあなたのものです。ー

 

キュン死に!

 

200年前も今も、純愛は素晴らしいものだなと思います。

 

 

 

人生に一度こんな素敵な恋愛をしたいものです…(笑)

 

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